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福岡高等裁判所 昭和48年(ラ)138号 決定

抗告人 楠貞雄

右代理人弁護士 坂元洋太郎

主文

本件抗告を却下する。

理由

本件抗告の趣旨およびその理由は別紙記載のとおりである。

民訴法二〇四条によれば、決定は相当の方法をもって告知することによりその効力を生ずるのであって、口頭弁論期日に法廷において言い渡すことは、相当の方法をもって告知することに該当するから、決定は右言渡によって告知の効力を生ずるものと解するのが相当であり、たとえ右期日に当事者が出頭していなくても適法な呼出を受けておれば、右効力に影響はなく、また後日決定正本が当事者に送達されても、右送達の時に告知の効力が生ずるものと解すべきではない。

本件記録によれば、原決定は昭和四八年一一月三〇日午前一〇時の原審第一〇回口頭弁論期日において、決定原本に基づき言い渡されたこと、もっとも抗告代理人は右期日に出頭していないが、同年一〇月一九日の第九回口頭弁論期日に出頭して右言渡期日の適法な呼出を受けていることが認められるので、その後同年一二月一四日原決定正本が抗告代理人に送達されてはいるが、前記説示のとおり、原決定は同年一一月三〇日の右言渡により告知があったものというべきである。

そして、本件記録によれば、抗告代理人が当裁判所に本件抗告状を提出した日は同年一二月二〇日であることが明らかであるから、本件抗告は抗告期間経過後の不適法な抗告というべきである。

よって、民訴法四一四条、三八三条により本件抗告を却下することとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 原田一隆 裁判官 塩田駿一 松島茂敏)

〈以下省略〉

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